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心霊住宅情報館

夜、マンションのベランダでタバコを吸っていると、目の前の中空を黒い影が横切り、大きな目でこちらを睨みつける!そんな無気味な現象の訴えを受けて、今回も霊能者が原因究明に乗り出したところ…。

第33物件 ホタル族の敵……(神奈川県K市)

ホタル族の敵…… 最近、相談を受けたマンション物件に関わる霊現象で、すでに解決した案件がありますのでご報告させていただきます。最近は喫煙者が激減して、タバコを吸われる方は肩身の狭い思いをしていると思います。カフェや居酒屋でも全面禁煙の店が増えていると聞きますし、奥さんから自宅の屋内でタバコを吸うことを禁止されている可哀想な男性も多いようです。マンションの場合、そうした方はベランダで喫煙するしかないわけですが、私が調査に訪れた物件では「怖くてそれができない」という、まさにホタル族泣かせの現象が起きていました。

この依頼は不動産仲介の業者や管理業者からではなく、個人から受けました。その人は私の遠い縁戚に当たる男性で昨年、結婚したのを機に当該のマンションへ転居してきたそうなのですが、引っ越しの整理があらかた住んで一服していた矢先にその現象に遭遇したそうです。

「夜の11時過ぎだったと思います。家内は早めに休んでいて、私はひとりでテレビのニュースを見ていたのですが、急にタバコが吸いたくなって携帯灰皿を片手にベランダへ出たんです。火を点けて吸い始めて、何となく夜景を見ていたら、いきなり黒いシーツみたいなのが目の前を横切って…」。それはマントをたなびかせた、普通の人間の倍ほどの身長を有する人影だったそうです。「いや、マントと言いましたが、実際には本当にそうなのかどうかは分かりません。見ようによっては鳥の翼とも思えました。見ていた時間はほんの数秒足らずだったのですが、あまりにも気味が悪くて吸いかけのタバコを残したまま室内へ飛び込みました」。思い出すようにそう言うと、身を竦ませていました。「その後も同じヤツが何度も現れて、もう怖くてベランダでタバコが吸えないんですよ」。ヘビースモーカーの彼には、そのことがかなり深刻のようでした。その後の調べで夜に浮遊する影を目撃した住人が他にも複数いることも分かり、正体を探るべく男性宅で待機しました。

やがて午前零時を過ぎた頃、霊気を感じ取った私はベランダに飛び出しました。するとそこには証言通りの霊体がいたのです。黒いマントというのは、じつは黒こげになったカーテンで、全身焼け爛れた男がそれに巻き付く形で宙に浮いていました。怨念の波動に引き寄せられた魔界の邪霊が合体し、かなり凄まじい形状となっていました。リンゴの果実ほどに膨張した目の玉が、爛々と輝きながら血を噴いている様は凄絶でした。霊感の差によって見え方は異なると思いますが、まともに目撃したらショックで卒倒してしまうと思います。

詳しく霊視してみたところ、マンションが建設される前の敷地で、木造アパートの火災事故があった過去が見えました。その時に男性が一人亡くなっており、無気味な霊の正体がその人物であると判明したのです。火災原因は住人の寝タバコの不始末で、それに巻き込まれて死んだ彼は、喫煙者を深く恨んでいたようです。念入りに供養して現象は止みましたが、人間どんなことで逆恨みをされるか分からないとの教訓を得ました。

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