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心霊住宅情報館

下町育ちの気の良い老人が細々と経営する古アパート。桜が散った頃から急にその建物内で霊を目撃したという人が続出し始めた。現地調査に赴いた霊能者が探り当てた、霊出現の原因とは……!?

第36物件 ベランダの物置……(東京都E区)

ベランダの物置…… 個人大家が経営するアパートなどを借りる際に、前の住人が残していった家財がそのまま置かれているということがたまにあります。つい最近、その残された物品に関わる霊障案件に遭遇しました。場所は東京都区内東部の下町。最寄り駅から徒歩五分という好立地のアパート物件でした。所有者の大家さんは生まれも育ちも地元という、いかにも江戸っ子という感じの気っ風の良いお爺さんで、私が現地を訪問した際も人情味溢れるべらんめえ口調で出迎えてくれました。

「今年の春頃、店子が急に幽霊が出るとか言い出しやがって。初めは何、馬鹿なこと言ってんだ。てめえ、安い酒でも飲んだんだろうって笑ってたんだが、その後、俺自身もソレを見ちまって……」。どんな霊が出るのかと訊ねたところ、見る人によって様々で、自分は顔が半分崩れた恐ろしげな女の霊を見たが、人によっては子供の霊や江戸時代の武士の格好をした霊を見ることもあると。しかもアパート住人と近所の人々を含めて目撃者数は数十人にも上るのだと、苦虫を噛み潰したような顔で漏らしました。

大家さんによれば、霊が出没するのは主に建物の二階部分とのこと。冷えた麦茶をいただいた後、さっそく問題のアパートへ向かいました。まず手始めに建物全体を含む周囲の観察をしました。土地に特別な因縁がある、あるいは事故死者などの地縛霊がいるなどといった気配はまるでなくで、むしろゴチャゴチャとした下町にしては気の通りが良い、風水的にも良好といえる立地条件でした。

そしていよいよ建物内部へ。外階段から二階へ上がり、最初に霊が目撃された一番奥の北側の部屋へ足を踏み入れました。すると途端、濃密な霊気に圧倒されたのです。ほんの一瞬の霊視でも優に十体を超える霊体が見えました。狭い室内に霊がギュウギュウ詰めになっていたのです。それらが一斉に私の方へ向かってきたため、たまらずいったん廊下へ退却しました。ドア越しに祓いの九字を切り、ひとまずその部屋を霊的な封印状態に置いた後、清めの粗塩と清酒を購入して再び現場へ戻りました。

あまりに霊体の数が多いため、室内の浄化は午後いっぱいかかり、全てを終えた後には日が暮れていました。多数の霊体を鎮めた後、夜になってようやく原因究明を開始。アンテナを張り巡らせて室内を探ると、すぐのその網に引っ掛かってきた物体がありました。それはベランダに置かれた小さな簡易物置でした。扉の鍵は掛かっておらず一見内部は空っぽでしたが、下に敷かれた板を外すと平に伸された黒いポリ袋が隠されており、その中には細かく砕かれた砂利のようなものが詰まっていました。

「何だい、こりゃ」と大家さんに問われ、どう答えて良いか迷いました。その砂利は複数の墓石を細かく砕いたものだったのです。物置自体は春にその部屋を退去した中年男性が置いていったものだそうです。その男が砕いた墓石で何をしようとしていたのか、それは今以て謎のままです。

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