今回ご紹介するのは、心霊現象が起きる中古家屋の話です。
霊視の結果、原因は建物自体ではなくその庭にあることが分かり……。
地元の不動産業者の依頼で、江戸川を挟んで東京と接している千葉県のI市へ赴いたことがあります。そこの会社で購入した一戸建ての家で、おかしな現象が起きるとのことでした。
誰もいない廊下を歩く足音が聞こえる。
照明が勝手に点いたり、消えたりを繰り返す。
庭先で人の話し声が聞こえる。そこへ行ってみると誰もいない。
購入後、そうした出来事が頻発することに気づいたそうです。
現地に到着したのは午後四時過ぎ。冬の時期でしたのですでに日が暮れかかり、辺りは薄暗くなっていました。問題の家は、田畑や雑木林に囲まれた二階建ての日本家屋でした。同行した会社の担当者によれば築四十年の古い建物だそうで、以前は自営業を営む男性の一家が住んでいたと教えられました。
まず、玄関に入る前に辺りを透視してみました。家屋を含む土地全体が、かなりまずい感じの霊気に包まれていました。次に屋内に入り、各部屋を一通り見て回りました。地縛霊など個別の人霊はいませんでしたが、それよりもさらにタチの悪い霊的存在が棲み着いていることが分かりました……。「この家で昔、自殺した人がいますね」と私が訊くと、担当者は素直にその事実を認めました。「最初の家主が首をくくったそうです。今から三十年ほど前の話です。その後、二番目の家主が引っ越してきて二年前まで住んでいたのですが、そこの家族にも不幸が続いたと聞いています。家屋を取り壊して更地にしてしまえば、おかしな現象は止みますかね?」その質問に対して、私は即座に首を横に振りました。「建物ではなく、土地の問題です。おかしな現象が起きる原因は庭にあります」。
家の庭は二十坪ほどの広さがあり、手入れされていない庭木が生い茂っていました。私はその茂みに分け入り、奥の一画を指差しました。「原因はこれです」私が示したのは、ボロボロに壊れかけた小さな祠でした。担当者は「そんな物があるとは知りませんでした」と驚いた顔をしていました。「この祠はかなり昔からあるものですね。私の霊視によれば、この家の敷地を含む一帯は豪農の屋敷でした。その頃に庭先へお稲荷様を勧請したようです。それが長らく手入れされずに荒れ果ててしまったので、御神霊が祟り神となってしまっているのです。この分霊を鎮めた上で元のお社へお帰ししない限り、今後も悪いことが続きます」。
その後、私のアドバイス通りに近隣の神社の神主が呼ばれ、祠の神様を鎮める儀式が行われました。以降、家の中でのおかしな現象はぴたりと止み、現在ではその家屋も取り壊されて、土地を分割する形で二軒の建て売り住宅になっています。皆様も土地付きの中古家屋を購入される際には、建物の内部だけでなくその庭の隅々までよく調べていただきたいと思います。荒れ果てた祠などは論外ですが、大きな庭石や灯籠などにも思わぬ因縁が潜んでいることがありますので、どうかお気を付けください。
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