霊感・霊視専門の電話占い 天女~てんにょ~

心霊住宅情報館

前の店舗で使っていた設備ごと買い取って新たに営業する、いわゆる居抜き物件。今回は、そうした物件が関わる霊現象の話です。脱サラして居酒屋の経営を始めたばかりの知り合いに泣きつかれ、子供の霊が出るというその店の調査に向かった霊能者が見たモノは……?

第44物件 冷蔵庫の子供……(群馬県T市)

大学卒業後、郷里の群馬で就職した旧来の知人から、およそ十年振りに電話連絡が来ました。年賀状のやり取りなどで昨年、彼が脱サラして居酒屋を始めたことを知らされていたので、「景気はどうですか?」と訊ねたところ、「それどころじゃない!」と血相を変えた声が返ってきたのです。

以前、レストランだった店を居抜きで購入したところ、その調理場に幽霊が出るのだと言われました。「どうにかしてもらえないだろうか」と涙声で請われ、仕事の日程をやり繰りして当地へ向かいました。彼の店はT市内の繁華街の路地裏にあり、周囲は少し寂れた雰囲気が漂っていました。が、客の入り自体はまあまあとのことで、「これでアレさえ出なければ……」と頭を抱え込んでいました。アレというのは幼い女の子の霊で、オーナーである彼以外にも店を手伝う家族や従業員など複数の人間が目撃しているのだと聞かされました。

「本当に見た目は普通の子供。赤い服を着た、おかっぱ頭の女の子の姿をしているなんだ。それがどういうわけか店の厨房をいきなり走り回ったり、誰もいないはずのトイレから飛び出してきたりしてね……うちのカミさん、とうとうショックで寝込んじゃって……」
「でもたとえそれが本物の幽霊だとしても、可愛い女の子だったらそこまでは怖くはなさそうだけど」
「いや、実はその子供の目がね……」

彼は途中で言葉に詰まり、そのままテーブルにうつむいてしまいました。幽霊の件は家族と従業員の間だけの秘密になっているが、客に知られたら売り上げに響くかもしれない。それが何よりも心配だ、と漏らしていました。

時刻は昼過ぎ。その店に足を踏み入れた瞬間も、さらにテーブルで話を聞いている最中も、危険な霊気はほとんど感じ取れませんでした。そのため私は当初、何らかの霊現象が起きているにしても、心配するほどの事ではないのでは?と高を括っていたのです。しかし、すぐにそれが大きな過ちであることにすぐ気づかされました。いざ厨房に入り、霊感のアンテナを広げてみると、スペースの奥にある業務用の大型冷蔵庫からおかしな波動が出ていることに気づきました。普通の霊波動とは明らかに異なり、呪念に満ちた禍々しいエネルギーでした。恐る恐るその扉を開いた先には、肉や魚などの食材と並んで子供の生首がありました。私の方に向けられた両眼には白目がなく、真っ黒。彼が言いかけていた目とはこのことか、と身震いしながら納得していると、生首の口が弓なりにしなり、「余計なお世話……」と呟いてきました。自らの邪気を圧し殺す術を心得た霊……一見、子供の姿はしていますが、たちの悪い魔物の類であることは明らかでした。

私はすぐ扉を閉め、早急に今の冷蔵庫を処分して代用品に入れ替えるよう指示しました。それを終えると、霊騒ぎは無事に終息。彼には話さなかったのですが、件の冷蔵庫には過去に人間の死体が入れられていたことがあるようです。それが殺人などの凶悪事件に関わることなのか、または別の特殊事情があったのか、その辺は一切不明です。

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